揺れる恋 めぐる愛


だから……

このチャンスを逃さずに、野乃花をこの腕に必ず取り戻す。

それさえ叶えば、徐々に落ち着いて何もかも元通りになるはずだ。


重い体を引きずって出かけた商業施設で最初に入ったのが宝飾店。

取り戻すためには、もうプロポーズするしかないだろう。

それならこれは必須だ。

野乃花は値段がとか、ブランドがとかそういう事にあまりこだわりがない。

それよりは僕が一生懸命野乃花を思って選んだものなら喜んでくれるはず。

この前予約と言って薬指に口づけた時、照れてはにかんでいたから

彼女も待ってくれているのかもしれない……

いや、そうに違いない。

以前、クリスマスの時に指輪を送っているからサイズは分かっている。


「婚約指輪を見に来たんですが……」

「かしこまりました」

このお店はネットでたまたま見つけた個性的なデザインの指輪を置いている。

実物を見て気に入り、野乃花にも似合うだろうとそれにした。


それなのに……

それなのに……

どうして?

なんでこんなことになったんだろう……

着けてくれたのは一瞬の事で、

今僕は、野乃花が机に叩きつけた指輪を握りしめ、

涙をこらえながら彼女を追いかけている。
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