love letter~章吾~

騒がしい教室の中にいながらも、俺と聡の間だけが切り離されたように静かになる。



「……してねぇし」



沈黙を破るようにして、聡ははっきりと言い切った。

疑うようにして「ふうん」と言う俺に、聡はさらに言葉を続ける。



「て言うかさ、おまえは由香を好きなんじゃないのか?」

「は?」

「なんだってそんなにしつこく聞くんだ?」

「……別に意味なんかねぇし。ただ、ちょっと思い出したから聞いてみただけだよ」



保健室でのキス疑惑。

どうしてその話を持ち出してきたのか、自分でも分からなかった。

尾関と聡は付き合っているんだから、いまさら聞く必要もないのに……。


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