love letter~章吾~
たったいま、俺の彼女となった千賀が、きょとんとした顔で小さく首を傾げる。
――か、可愛いぞっっ!
ほんの些細なしぐさが、とてつもなく可愛く見える。
同じ女なのに、どうしてこうも尾関と違うのか。
「あ……」
ぽつりぽつりと、小さな水滴が空から落ちてくる。
俺は、千賀が濡れないように傘を広げると、彼女の頭上に掲げた。
「一緒に帰る?」
俺がそう言うと、千賀はようやく笑顔を見せて、小さくこくりと頷いた。