love letter~章吾~
げっ、来たよ!
と、思う前に……。
聡のことを「聡くん」と、自然に呼ぶ尾関に呆然となる。
いつも「翠川くん」と呼んでいたくせに。
「あっ……。笠原くん……」
尾関は俺を見て、ひどく気まずそうな顔をした。
そんなことより、聡と尾関の距離がいつにも増して近すぎる。
まるで、俺と成美のような距離感だ。
「ね、聡くん。これなんかどうかな」
いつもなら、俺を見つけると真っ先に話しかけてくる尾関なのに。
今は、俺のことなんか眼中にありませんって態度で、聡だけを真っ直ぐに見ていた。