love letter~章吾~

待ち合わせ場所に着き、聡たちと合流する。

自然に手を繋いでいる俺と成美。

それに触発されたのか、それまで手すら繋いでいなかった二人だったけれど。

尾関が積極的に聡の手を捕まえた。



――……くそっ。

手ぇなんか繋ぐな。

尾関のくせに!俺の親友と!


俺たちの少し先を歩く、尾関の後ろ姿。

あいつは俺の方なんか、見向きもしない。

横着にも思えるその態度に、さらに俺はムカムカしてしまう。



「……章吾くん?顔、こわいよ?」

「………」

「ねぇ、章吾くんってば……。なんか、怒ってる?」

「……怒ってねぇよ。すっげー楽しいぞ、俺」



顔が引きつるのを感じながらも、俺は精一杯の作り笑いを成美に見せた。

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