jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「さすが、香の愛する女は格が違うな! 最高に変だ!」
褒められているのか、けなされているのか、よく分からなかったが、わたしにとって‘変’は最高の褒め言葉、美徳だ。
香さんと同じで・・・・・・。
千砂兎さんだって、きっとそうだろう。
香さんと同じだから。
「分かりました。だから、そんなに笑わないでくださいよ~!」
わたしの眉は、見事なへの字になっているに違いない。
「可愛いね・・・・・・。もっと、いじめたくなるよ」
(まずいっ! S悪魔に刺激を与えてはいけないっ!)
これは、香さんで痛いほど分かっていることだ。
わたしはすぐさま、話題を変えた。
「あっ、そうだ! 香さんには、どう伝えたらいいかなぁ!」
気を引くように、わざと大袈裟に、抑揚を付けて言った。
すると、今度は千砂兎さんの眉が、ハの字に変化した。
しかし、それは恐ろしい毛流れの文字だった。
「はぁっ~! 香~! あんな奴、1日くらい野放しにしといたって、死にやしないよ! ほっとけ、ほっとけ。あぁ、そうだった、そうだった、大丈夫さ。あの祝い手紙の中には、離婚届けと一緒に、メモが入っている。蕾をちょっと誘拐して、可愛がることを直筆で報告しているんだ。店舗名かつオーナー名を添えてね。だから、心配御無用!」
(いや、逆に心配だ・・・・・・)
それにしても、香さんたちは今頃どうしているのだろうか?
気になって仕方なかったが、携帯は置いてきたし、今は電話を借りれる雰囲気じゃないし、どうしようもなかった。
ただ、香さんが、恐ろしい悪魔の形相を浮かべていることだけは想像できた。
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