jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
冬のある日、本屋でファッション雑誌に目を通していた。
(今月も『Murinsu Venus』でいいや)
いつもの雑誌を手に取ろうとしたとき、真横にあった『bitter・handsome』という雑誌が目に入った。
表紙には、男装した女性のモデルが載っていて、黒でがっちり固めたパンク系の格好に、白いシャツ、ごつめのアクセサリーやブーツを身に着けていた。
(うわぁ、かっこいいっ!)
わたしは、久々に、あの胸躍るような感覚が蘇ってくるのを感じた。
買う予定の雑誌は置き去りにして、ときめきが詰まっているだろう珠玉の1冊を手に取り、慌ててページを開いた。
シンプルなファッションから個性的なファッション、白馬の王子様系から悪戯そうな悪魔系まで、様々なタイプの女性が掲載されていた。
(都会には、こんなに男装女子がいるのかぁ・・・・・・。わたしの住む、田舎とも都会とも言えない中途半端な町には、存在しなさそう。今まで見たことないし・・・・・・)
がっくり肩を落としたが、もしかしたら、わたしが外の世界にあまり足を踏み入れないだけで、本気で探せば近くにいるのかもしれない。
そう前向きに考えられたのは、いつぶりだろうか?
ときめきパワー恐るべし・・・・・・。

そのとき、改めて女性は綺麗だと思った。
ツルツルの極め細やか肌に、凛としてしなやかな体、そして理性を備えた上品さ。
男性にはない、優れた部分がたくさんある。
今まではそれを羨ましいとしか思えなかったが、今は違った。
(愛されたい・・・・・・)
男性と女性がミックスされた、完璧・極上な愛を求めていた。








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