プリーズ・イート・ミー
「わたしが小さくなってるの。これぐらいかな」


親指と人差し指を使い、3センチぐらいを示す。


「で、地面が真っ白でやけに柔らかくて、雪でも積もってるのかな……って思ったら、そういう感じでもなくて。触ってみたら、手にべっとりひっついて、甘い匂いがするし、横にはでっかい苺があるしで。しかもなぜか、わたしサンタのコスプレしててさぁ……」

「もしかして、それって、クリスマスケーキの上に乗ってるってことですか?」

「そうそう」とわたしは頷く。

「サンタのコスプレしてるってことは……奈々子さん自身がクリスマスケーキの飾りになってるってことですよね? たしかに乗ってますもんね、サンタさん」


あれ可愛いですよね、と、杏里ちゃんは口元を緩ませる。


「というか、楽しそうな夢じゃないですか~。特大のケーキ食べ放題ですよ!」

「そんな呑気なもんじゃないって。想像してみてよ、自分が小さくなった世界を……。マジで怖かったんだからね」


わたしは自分の体を抱きしめて、ブルっと震える。


「大きなナイフが近づいてきて、ケーキを切り分けていくの」

「きゃー。それは怖いかも~」って、杏里ちゃんが眉を寄せる。

「で、なんとか落とされないように、四つんばいになってしゃがみこんでたら。わたしが乗ってる部分が、ついに誰かの取り皿に乗せられてさ……」


ああ……ここから先はもう恐怖でしかなかった。


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