プリーズ・イート・ミー
わたしはもう一度目を閉じた。

もしかしたら着信の相手は杏里ちゃんかもしれない。
今頃わたしの荷物に気づいて、かけてきたのかも。

でもごめんね。今は出れないの。
だって、素直にならなきゃって教えてくれたのは杏里ちゃんでしょ?

だから、今は自分の思うままに行動する。


わたしはクリスマスの魔法にでもかかったのかもしれない。

でもそれでいいや。
難しいことは考えず、ただこのムードに身を任せたい。

だって今日は一年で一番ロマンチックな日なんだもん。


願わくば、この甘い夢からいつまでも覚めませんように……。

そんなことを考えた時、ようやく彼の唇がわたしに触れた。


それはとても暖かくて、柔らかくて

さっき杏里ちゃんからもらったマシュマロよりもずっと甘く感じた……。


Please eat me…


第1話【クリスマスケーキ】 


END

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