嘘恋シアター


赤い顔を隠すように頭の後ろを掻く橋本くんの話が理解できない。


「あー。ちょっと、突然すぎた?よな?」


そうだよな…ってつぶやく橋本くん。



「俺…今好きな人がいて。
その人にヤキモチ妬かせたいんだ。
それで意識してほしいんだ、俺のこと。
いきなり告白して俺のことよく知らないまま断られんのはイヤなんだ。

女々しいんだけど、ごめん。
協力…してくんないかな?」





そっか。そういうことか。

わたしなわけないじゃん。


…恥ずかしい。
思い上がってた自分がスゴく恥ずかしい。
…この場から消えられたらどれだけいいだろう。




「ダメ…かな」
うつむいてた頭をあげて照れたようにはにかむ。


わたしを見つめるキレイな顔。



1年も見てたのに、知らなかった。

橋本くんって、こんな顔するんだ。


…好きな人を思うだけで、こんなに素敵になるの?


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