Music Art Fair

レオンハルト編

 こんにちは。僕の名前は香山雪乃です。将来はピアノでご飯を食べたいと思っています。
 僕の家族は芸術一家です。だからか、皆ちょっと変わっています。今日はその中でも一番激しい父のレオンハルトを紹介します。



 僕のお父さんは指揮者です。ドイツ人と日本人のダブリューで、特にベートーベンを得意としています。お父さんの指揮はとても豊かで激しくて大好きです。桜子姉さんや紅葉姉さんはそんなお父さんの音楽を参考にしているのだと思います。
 お父さんはとっても紳士です。英国紳士より紳士です。本当に紳士です。そんなお父さんが僕は大好きです。
 でも――。
 お父さんは、お父さんが作る音楽のように激しい人です。だから僕はそんな時は、桜子姉さんよりも怖いと思います。
 或る日の事です。たまたま、お父さんのオーケストラが日本で公演する事になりました。その時の話です。
 僕は勉強にもなると思って、お父さんとお母さんに土下座して桜子姉さんと一緒に練習を見に行く事になりました。その時の練習はとても素晴らしかったです。コンマスのお母さんのソロも最高でした。
 でも。クラリネットの首席が、まぁ、何と言うか。遅刻して、桜子姉さんの言う「糞演奏」をしたのです。お父さんの指示も効きません。紳士的に棒を振っていたお父さんの態度が一変しました。
「おんどりゃあ儂嘗めとんかわれぇ!」
 その言葉と同時に指揮棒がクラリネットの首席に飛びました。譜面台が蹴り飛ばされました。桜子姉さんの顔が真っ青になりました。
 そして、被害を受けるのを恐れてか他の団員達は僕達の方へ非難して来ます。
「そんなちんけな演奏しおってのぉ!儂の力量まで疑われるじゃろが!さっさと帰れこのカスぅ!」
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