雪の足跡《Berry's cafe版》

「スキーは辞めるなよ、親父さんのためにもユキのためにも……って、何?、ユキ??」


 3日前にもその前週にもスキーに出掛けた私を不思議に見た。


「八木橋さんのところに行ってたんじゃないの?」
「あ、うん……上越の方」


 割引券もらったり、一日券が割引になるイベントがあったから、と嘘をつく。でもそんなものはすぐに見破られた。私の嘘が下手なのか、それとも親の勘なんだろうか、ニヤニヤと私を見て笑う。


「ユキ、無理してない??」
「無理なんてしてない……」
「八木橋さんのこと好きなんでしょう?」
「ち、違う。そんなことない……」


 母はこないだ途中になってしまった父の話をしたいと言い出した。


「父さん?」
「ほら、無理矢理じゃないわよ、の話。母さん幸せだった?、って聞いたでしょ」


 寒がりの母に父は無理強いはしなかった。でも母は父に対して申し訳なくてスキーに付き合ったと言った。


「申し訳ない?」
「父さんね、スキー場の近くでペンション経営するのが夢だったの」


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