雪の足跡《Berry's cafe版》

 一通り作って食べて、洗い物をしようとシンクの前に立つ。


「俺が洗う。爪が傷付くんだろ」


 背後から八木橋の声がした。


「たった3日で」


 後から抱きしめられた。あのときと同じシチュエーション、同じ言葉。


「たった3日で俺、あのとき結婚まで考えた」


 八木橋は私を更にきつく抱きしめる。本当はきっとあのときにそう言いたかったんだと思った。



「たった3日で、俺、軽いか?」



 私は首を横に振る。きっと私だってあのときにはそこまで惹かれていた。私を抱きしめる八木橋の大きな手に自分の手を重ねる。



「ユキ、一緒に生きていこう」



 私は声も出せず、ただ頷いた。






< 334 / 412 >

この作品をシェア

pagetop