雪の足跡《Berry's cafe版》

 八木橋は、一人だと何かあった時に身動きとれないからさ、と私を心配してくれていた。


「今度……」


 今度? 八木橋が少し言葉を詰まらせた。何か言われるのかと私の心臓は鳴る。


「今度行くときは出来るだけ複数で行けよ」
「あ、うん……」


 少しチクンと来た“行く”という単語。“来る”じゃなかった。“今度来る時は”ではない八木橋の言葉に急に寂しくなった。









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