雪の足跡《Berry's cafe版》

 初心者の叔母達に、板がうまく外せない、と呼ばれ、私は叔母達のところに向かった。そして板を外し、それを持って更衣室に行く。叔母達の着替えを手伝い、借りた品をレンタルコーナーに返却に行き、その後は叔母達や母と叔父と別れて一人でゲレンデに戻った。勿論、もうそこには八木橋の姿はなかった。太陽も山の向こうに沈んだのかナイター用のライトがついていた。一人、リフトに乗る。一人、滑り下りる。ライトで伸びる私の影は知らないスキーヤーのウェアに掛かる。八木橋ではない違う人間に寄り添うべきだと言うように。

 リフトの終了時間まで滑り、板を外して仕方なく上がる。スクール小屋の窓に明かりは無く、板を担いで部屋に向かった。





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