理系彼女と文系彼氏(旧)
この世に、居ない……!?

「……えっ」

驚いてつい声を出してしまう。

それって、もしかして。

「うん、死んじゃった」

わざとだとわかる言い方で軽く肩をすくめる月見里君。

「蓮先輩に、怪我のこと聞いてる?」

怪我。

バスケを辞めた原因、って言ってたあの?

「はい、多分」

「うん、だよね。傷跡とか、平気な人?」

こくん、と頷くと月見里君はTシャツをめくった。

綺麗に割れた腹筋の少し下にそれはあった。

「……っ、酷い」

肉が抉り取られたような深い傷。

既に癒えているとはいえ見ているだけで痛々しい。

「はは。酷い傷だよね、これ」

笑い事じゃない。

「何で、こんな………っ」

「刺されたんだ。通り魔にね」

す、と冷めた顔になって月見里君は言った。
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