おかしな国のアリス
訪問者に向かって包丁を投げる恐怖の帽子屋は
「やぁやぁ、よくきたねよくきたね!アリスアリス!白兎白兎!」
繰り返す人だった。
これは…疲れる。
苦手要素2ってところかな…
1はまぁ、言わずもがな…
「こ、こんにちは」
「はいはいこんにちはこんにちは!アリスは紅茶派?紅茶派?それともコーヒー派?コーヒー派?」
あれ?入った瞬間からお茶会スタート?
帽子屋さんは、意気揚々と両手にカップを持って聞いてきた。
帽子屋…というくらいなので、シルクハットを被っている。
服は燕尾服。顔はどちらかというと幼い。
…とりあえず、お茶会してる場合じゃないので
「すみません、帽子屋さん。私、猫を探してるので…すぐに行かないといけないんです。」
「…え…」
ガシャン。
帽子屋さんの顔からは笑顔が消え、両手のカップが床に滑り落ちた。
「あ…」
「アリス…!それは…」
禁句です、という兎の言葉は私の耳に届かなかった。
代わりに。
ヒュッと風切り音。
後ろの壁にはスプーンが刺さっていた。
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