おかしな国のアリス
声がした。
『知らない』
『知らないなぁ』
『わからないよ』
『アリスも兎も大変ねぇ』
『くすくす』
『クスクス』



河って意識あるんだっけ。
そんな話は聞いてないよ…
なんか、もう色々おかしくなってるみたいです。この物語。
…まぁ、兎が人間ってところから、もう間違ってるんだけどさ。

その後も、この頭の悪い白兎は河に聞きまくる。
「本当に知らないんですか?」
とか
「ここは通らなかったんですか?」
とか
「本当に?」
とか。
最終的には、なんか言い争ってたみたいだけど…大丈夫かな…

「すみませんアリス…
あの河、使えませんでした。後で干上がるでしょう。」
「…」
笑顔でなんてことを言うんだこの兎は…
とにかく、猫は河を通らなかったらしい。

…ノーヒントじゃ無理だろ…
私はまた、溜め息をついた。
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