* 竜の眠る国 *




ガチャガチャッ

ドンドンドンッ


「ユウナ!中にいるのか?!

 ユウナ!!」




 中から物音一つしない。

 背筋が冷たくなる感覚に襲われて……


 俺は、慌ててユウナの部屋へ走った。





 部屋を開けると真っ暗だった。廊下から漏れてる明かりを頼りに部屋を見渡すが、ユウナの姿はない。



 何があったんだ…?

 どうして目を離した?
 あんなに嫌な予感がしていたのに…!!




 ユウナの部屋に入り、頭をかきむしる。

 すると、さっきまで雲に隠れていたのか、月明かりが強くなり窓際のベッドを照らした。


 それに導かれるようにベッドまで向かうと。



 ……箱…?


 ベッドの上に置いてあった箱は、ユウナの大切にしていたオルゴールの箱で。

 ――瞬間、頭に疑問が生まれた。





 昼間、あの開かずの部屋で拾ったと言っていた鍵は、どこに行った?


 確か、この箱に大事にしまっていたはずなのに―――





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