ヒトメボレ
キミノナマエ

次の日の昼休み。

私は、千帆と一緒にまた図書室の近くを通った。

(あの人、いるかな…?)



ガラッ



図書室のドアが開いた。


(!)


出て来たのは…





――――あの彼。





ウチの学校は名札を付ける決まりがあるから、
名札を見れば名前がわかる。



…はずだった。



(え!?名札、無い…)


思わず、彼をガン見してしまう。


(名札を付けないような不良には見えないのに…)



すると、彼は私を不審に思ったのか、

「何?」

と聞いてきた。


「え!? えーっと…」


あぁ、今の私、顔真っ赤だな…。






「――――佐藤さん」

「は?」

イキナリ名前を呼ばれて驚いた。


「何で、私の名前分かるの?」

「名札見れば分かるじゃん」

あ、そっか。

私のバカ…。


「で、昨日コケた人だよね」

「あ、うん…」

覚えていてくれたのはいいけど、
【コケた人】って…(泣)


私の第一印象、最悪だな。


「オレ、瀬戸紫苑(せとしおん)。そっちは?」

「あ、佐藤優菜です…」

「優菜っていうんだ。ヨロシクな」


呼び捨て…。

ちょっと嬉しいかも。


「よろしく」

私は笑顔で言った。

紫苑くんは、ニコッと微笑み返して、
隣の【3−1】と書かれてある教室に入っていった。


(1組なんだ…!でも、私は4組。教室結構離れてるな~)



「千帆、教室もどろう」

「え?あ、うん。てゆーか、何しに来たの?」

「ヒミツ~♡」

「あやし~。あっ、もしかして、好きな人見る為に来たとか?」

「えっ!!」

「やっぱりそうなんだ!!で、ダレ、!?さっき喋ってた人?」

「えっっ!!」

「アハハ、優菜、分かり易い!」


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