にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 クッソ~~~~ッ! 歩いてやるわよ! ひと駅多く、しかもそかからまた店まで徒歩で行くわけだけども! こんなことなら、恥ずかしがらずに長靴でも履いてくればよかった。可愛いお気に入りのブーツは雪で濡れてそこからどんどん冷たい水が染み込んでくる。


 今どき、長靴だってオシャレなんだから! ブーツ風の長靴だってある。だってそれなら足が痛くなることもない。ヒールの高いブーツは長く歩くと足のつま先がとても痛かった。背の高い私は足のサイズも大きくて。

 すぐに足が痛くなってしまう。このブーツだってやっと探したんだもん。だから、雪が染みるだろうと思っても、誰が見ているかわからない。だから、お気に入りのブーツを履いた。


 だってこんなに長い距離を歩くと思ってなかったから。

冷たい足と痛くて辛いこの状況に誰も助けてくれないこの状況にまた涙が溜まる。それでもなんとかひと駅ぶん歩いて更に自分を奮い立たせ歩いたら、やっと私とあずちゃんのお店が見えてきた。『bonheur(ボ・ヌール フランス語で幸せ)』と言う字の看板が雪で隠れていた。


< 100 / 281 >

この作品をシェア

pagetop