にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ……確かに由比子の家の食材だけど、そういう言い方なくね? ホッント素直じゃない。初対面の時はそういうところ可愛くないと思ったけど、ただ単に素直になれない意地っ張りの女の子なんだ、と思ったら、かなり年上だろうと予測はしつつも可愛いな、と思う時がある。


「そうだね、由比子ちゃん。食材、貸してくれてありがと。できたら、食べてくれたら、嬉しいんだけどな?」

「……じゃあ、少しだけ」


 パクリ、とアボカドとモッツァレラチーズを合わせて口に入れたあと、由比子の口の動きが止まった。カプレーゼが乗った皿を見つめる由比子。無表情だけど……続けてトマトを口に入れたので、美味しかったのだと悟った。


 ……素直に美味しいって言えよなぁ。さっきはブランド牛、口いっぱいに入れてタレ目になってたくせにさ。だからといってブランド牛に勝てるとは思ってないけども。


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