にゃんこ男子は鉄壁を崩す
断れない私


 出来上がったそれは私の掌の中で虚しく存在を主張している。きっと持って帰ったって使わないだろうけど、鞄の中に無造作に突っ込んだ。




「結構、上手くできたなぁ。ね、由比子さん、先生カッコよかったでしょ?」



「うん、まぁ……」




 私は気のない返事をした。だけど仁衣菜ちゃんは肯定的に捉えてパァァ、と顔を明るくする。おわ、仁衣菜ちゃんの顔になんだか嫌な予感を覚える。




「でっしょ! 由比子さん、私、小宮さんに無理言って松川先生と私と小宮さんと由比子さんで今日、夕御飯、一緒にしましょうってお願いしたんです!」



「は、はぁッ……?!」




 何しとくれとんじゃ、この生娘は! いや、違う、純情そうに見えてこの娘はちゃっかりアイツとヤってるんだから断じて生娘ではない。




 私はすっかりやる気のなくなった頭を抱えた。



 つーか、その面々で食事とか有り得ないんだけど! 




 絶対に顔が引き攣る自信がある。



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