にゃんこ男子は鉄壁を崩す

volume-1 美優の場合



 私、平坂 美優は百貨店に勤める35歳。そろそろ結婚。勿論よ。彼氏ともうまく行っててそろそろ結婚の話も話題にのぼってた頃だった。



 JA○に勤める彼は夜勤も多く、毎日会えるわけじゃない。彼が夜勤の日は家で結婚に関する本を読み漁るってのが日課になってた。この間もそんな感じだったんだ。




 部屋でお気に入りのアロマのオイルを焚きながら、気になる箇所に赤ペンで丸をつけてみたり。




 うわ、このピンクのふわふわしたドレス可愛い……うん、勿論、写真の女の子が若いってのもモデルだから可愛いってのもあると思うよ? それでもホントに可愛くて……




 ああ、こういうの二人で見れたらいいのになぁ。一人で見るのも楽しいけど、ホントに彼は結婚を考えているのかしら、と疑う気持ちが出てきてしまう。そんな私に心の隙が出来てた時だった。





 スマホが不意に鳴り響いてなんの気なしにソレを手に取ると『彼』からの着信だった。彼氏じゃなくて『彼』。今の彼氏と付き合う前に惚れていたオトコだ。




 ロクでもない男。だから、男として見るのはやめた。男友達みたいな関係ならヤツみたいなオトコもまぁ、許せる。同じ女として友達に紹介、とかは絶対にできないタイプ。イケメンでも女にだらしがないって最低よね、なんてこの時までは思ってた。


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