君が教えてくれたこと

東京から、とある田舎の方まで俺たちは移動した。

「此処はな、父さんの故郷なんだ。」

今日から、お婆ちゃん、お爺ちゃんの家に住むことになった。
そこからすぐの学校に転校する事になった。

お婆ちゃんとお爺ちゃんは小さい頃に一度会っただけだから
どんな人達なのか。


「ただいま」

父さんがガラガラと玄関に入る。

母さんと俺も続いて入った。

「おかえり。あら、其処にいるのは悠斗かね?」

「大きくなったなあ」

「今何年生なんじゃ」

迎えてくれたのは、白髪のお婆ちゃんとお爺ちゃん

「中学二年生です」

「わしらの事は、覚えているか?」

ぶんぶんと首を振った。

「ははは、だろうな。会ったのはこーんなに小さい時だったもんな」

お爺ちゃんが手を浮き沈みさせた。

「今日からよろしくお願いします」

母さんが言う。

俺も小さな声で「お願いします」と言った。



その日はお婆ちゃんが畑で作った野菜で料理をしてくれた。

美味しすぎた。涙が出そうだ。

俺はここ数日間、コンビニ弁当だったから。


その日は、俺が人を殺したなんて忘れてしまう程幸せだった。
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