やさしい記憶
10 やさしい記憶
日曜日――
朱鳥くんと電車に乗っている。
いつも乗る電車を乗り継いで
更に先へ。
「……」
ボックスシートに向かい合い
無言で窓の外を見つめる。
あたしは
車窓からのぞむ
見知らぬ街の風景を見つめて
だんだん緊張していく
自分を感じていた。
「……」
あたしは
この電車に乗ることを選んだ。
最後のミッションを
コンプリートするために…――