バース(アイシテルside伸也)


仕事の合間を縫って、奴等の事を躍起になって探していた頃……



珍しく亜美から着信があった。



携帯を持たせたものの、メール機能は一切使おうとしないし、誰かに電話をかけることもない。



受身だったはずの亜美が電話をしてきた。



桐藤が姿を見せたという連絡が入っていた俺はその場へと向かっていた。



取り損ねた亜美に何度も電話をかけなおす。



……が、何度鳴らしても亜美が通話ボタンを押す事はなかった。



何だか胸騒ぎがする。



車が桐藤が姿を見せたというラブホテルの前に着いたとき、再び亜美から電話がかかってきた。



「亜美、どこにいる?どうした?」



俺はホテルの周りに桐藤の姿がないか、確認しながら電話に出た。



「し、しん、やさん……た、けて……」



嗚咽で喋れない亜美。



「亜美、落ち着け。助けに行くから場所を言え」



亜美から伝えられた場所はこのホテルの中。



情報も俺の胸騒ぎも当たっていたっていう事か……
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