バース(アイシテルside伸也)


「来てみたかったのよ。アイツがよく行ってたって聞いたから、どんな感じなのか見てみたかった」



レイカの態度は急変し、テーブルを見つめながら、ぼそぼそと話し始めた。



「でも、こんなことに付き合ってもらえるのはシンくらいしかいないから……シンもいなくなるって聞いて、今日しかないって思った」



「そうか」



康さんの話などめったにしない、レイカの口から康さんのことを聞くのは何故だか違和感を感じる。



「みんな、いなくなっちゃうわね」



「レイカも……」



「えっ?」



レイカも、この街から卒業してもいいんじゃないか?


と言い掛けてやめた。

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