【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~



蓮にキスをされてから少し時間が経ってから、
私たちは立ち上がり家へと帰るため駅に向かった。


また、時間をかけて帰らなければならない。

それに、帰ればもう、蓮とお別れ。


もっと蓮のぬくもりを感じていたい。

もっと抱きしめて欲しい。


私は、どうしてか、
蓮に対してとても欲張りになっていた。


初め蓮と会った時、
好きじゃないと言われて諦めるつもりだった。


ただ名前を呼ばれるだけで、
話しかけてくれるだけで、
そして、“特別”と言ってもらえるだけで。


それだけでよかったものが、

今はそんなんじゃ足りなくて、
触れていたい。
キスをして欲しい。
抱きしめて欲しい。


そんな風に欲張りになっちゃう。


蓮が好きすぎて苦しいよ……… 




「優愛、大丈夫?眠れなかったか?」


「え?ううん!平気だよ!」



蓮が優しく声をかけてくれた。



< 189 / 287 >

この作品をシェア

pagetop