【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「優愛ちゃん……」
あれから全くもって
授業に身が入らなくなってしまった。
そして、気づけば昼休み。
心配して私に声をかけてくれるいとちゃん。
いとちゃんの席は私の前で授業中も時々チラッと
後ろを向いてくれているのは知っていたけど、
それどころではなかった。
あの、“姫井美由希”という存在が
私の心の中をもやもやでいっぱいにした。
「あの、姫井って女の子、
男女どっちからも人気だからね……」
と桃菜がお弁当を広げながら言う。
そして、いとちゃんも。
「確かに、なんか憎めないよね……」