【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~



「お待たせっ!!」


私はもうすでに待ち合わせ場所にいた蓮に声をかけた。


蓮はラフに、灰色のTシャツに
ダボッとしたパンツを履いていて
凄くかっこ良かった。


「……別に待ってねえよ。」


そう言って先に歩き出してしまった蓮。


浴衣着たのに……
変だったかな………


紺地に色とりどりの花の絵が描かれている浴衣。

そして、その花と同じ髪飾り。


似合ってないのかな………


「ん。」


と、こちらを見ずに後ろに手を差し出す蓮。


私は蓮の手に自分の手を重ねた。


「似合ってるよ。ごめん。すぐに言えなくて。」


そう耳元で呟く蓮。


「……あ、ありがと……嬉しい…」

「可愛くてジッと見てられなかった。」


そう言って、一瞬私の顔を見るも、
すぐ逸らしちゃう蓮。


< 268 / 287 >

この作品をシェア

pagetop