不変の想いを君に…
「十六夜~」
障子を開けた夫婦の自室。布団で長いふさふさな尻尾を身体に巻きつけて寝ている白。膝枕で十六夜の腹に抱き着いた天堂は間延びした声で十六夜を呼んだ
「何ですか?」
「ん~……桜李が二代目になって少し心配じゃがゆっくり出来る」
「そうですね、お疲れさまでした…でも、私があなたに嫁ぐ前から一緒に居た翔炎たちが故郷に帰ってしまったので少し寂しいです…」
「まぁ、ワシらの代に何かありゃすぐに来てくれると言ったしな。心配するな」
「えぇ」
十六夜の労る声と背中をとんとん、と叩くのが落ち着いた
「桜ちゃんも大きくなったものです。益々あなたに似てきました」
十六夜の腹に埋めていた顔を上げてくるりと一回転して膝に後頭部を乗せた天堂は嬉しそうなそうでも無さそうな顔をした
「そうか?じゃあ、モテモテじゃの」
にかっと笑った天堂に笑い返して額をぺちっと叩いた十六夜。自分で言わなければ文句なし
「ふふ、一人候補はいるのですがね」
「…は?」
「あら、知りませんか」
「ワシが知ってるやつか?」
「えぇ、身近な子です…誰かは言いませんけど」
視線を逸らした十六夜にムッとして起き上がった。娘ではないため父親としてあまり悲しくはないのだが気になる。自分に似て硬派で見る目があるため、ろくな女に引っ掛からないだろうが…しばらく楽しめるかもしれない