聖なる夜の願いごと


「クリスマスは陛下と過ごしたいとあんなに意気込んでいたのに残念ね」

「いざとなると言えなくて。ウィルから招待状を渡してもらったんですけど、やっぱり興味がなかったみたいです」

「そうだったの」

ブラントン夫人はそれ以上何も聞かなかった。



「けど、陛下もこんなに可愛らしいお妃様を放って仕事だなんて色気がないわね。今からお城に乗り込んでこようかしら」

エレナにマナーを叩き込んでいるときの厳しいブラントン夫人からは想像できない発言に、エレナは思わず口元をほころばせる。



「いいんです。何も今日一日会えないわけではないですから。私も今日は早く帰ることにします」

ブラントン夫人はエレナに同意するように「そうね」と言って微笑んだ。


「旦那様の愚痴でも話しながらおいしいお料理をいただきましょう」

不敵な笑みを見せるブラントン夫人。

ブラントン夫人に励まされ、心が少し軽くなったエレナは来た時よりも足取り軽く、ホールの中心へと向かった。



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