聖なる夜の願いごと


「しかもマリアンヌ様とご一緒よ!」

それは決してシルバが自分たちよりもマリアンヌを選んだという悲しみからではない。

エレナという存在を認めはじめた途端の不穏な知らせに戸惑いを隠せないのは令嬢たちだった。

しかし、先ほどまで自分たちがエレナを追い詰めていた側であった令嬢たちはすぐには素直になれなかった。



「あ、あら、もう飽きられてしまったんではなくて?」

「そうかもしれませんね」

力なく笑ってそう答えたエレナに令嬢たちの焦りは増す。

互いに目配せをして、早々にその場を去ることを決めた。



「で、ではごきげんよう。私たちも陛下の目にとまりたいので」

「えぇ、どうぞ行ってらっしゃいませ。私はもう少しお庭を見ていきますわ」


それがすぐにエレナの強がりだと分かった令嬢たちだったが、引き留める言葉も浮かばずホールへ戻って行った。


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