聖なる夜の願いごと


正攻法ではないやり方で少し申し訳なく思ったが、ニーナの言うとおりパーティーは明日に迫ってきている。

自分から渡せない以上、誰かに渡してもらう必要があるが、ウィル以上に適役はいないだろう。



「シルバ宛てに来た手紙なんだけど、パーティーの招待状みたいなの」

「またパーティーの招待状ですか。分かりました」

わざと余所余所しい言い回しでそう言ったエレナに、ウィルは全く怪しまず了承した。

きっとシルバに来る数多くの招待状のうちの一つとしか思っていないだろう。



「渡してくれるだけでいいから。お願いできる?」

「承知いたしました」

「ありがとう!」

恐る恐るの問いかけにウィルは快諾した。



「すみませんが、手紙をこの上に置いていただけますか?」

「お仕事中なのにごめんね、ウィル」

「いいえ、お気になさらず。自室にこれを置きに行って書庫に寄ってから執務室に戻りますので」

ウィルの笑みにつられるように笑い、ウィルの両手に抱えられた書類の一番上に手紙を置く。




「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「行ってきます」

手を振りながら小走りでエントランスに向かったエレナをウィルは微笑ましく思いながらその背が見えなくなるまで見送った。



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