倫敦市の人々
「ジャックさんっ…どうしてこんなっ…!」

涙目になって、変貌したジャックの姿を振り返る椎奈。

「まるで猟犬…」

瑠架が呟く。

その言葉に。

「あらぁ、『そういう風に』したのは貴女達聖堂騎士団じゃなぁい?」

ラミアが嘲笑う。

「黙れ、ラミア・ヴァルバラ」

瑠架の青い瞳がラミアを射抜いた。

「彼をあのようにしたのは聖堂騎士団でも一部の人間…」

「あのさっ」

瑠架の言葉に、ユヤが口を挟む。

「何だ?そのせーどーきしだんって」

質問には答えるべき。

それは瑠架にも分かっているのだが。

「っっ……」

フードを被り直して口を噤む瑠架。

何せユヤや椎奈とは面識がない。

人見知りな瑠架に、話せというのは酷だ。

< 122 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop