倫敦市の人々

そのお気に入りのハーブティーを飲みながら。

「ふえー、そんな事があったんだぁ」

フミは目を丸くする。

聖堂騎士団倫敦市花屋支部結成式…と椎奈だけが呼んでいる…の翌朝、闇珠が式札を使ってこの店を襲撃、美弦を連れ去ろうとした話を聞かされたのだ。

「そうですよ、危なかったんですよぉ」

自らも『希少種』として闇珠に狙われている事も知らず、椎奈がおかわりのハーブティーをフミのティーカップに注ぎながら言う。

「ジャックだけじゃ飽き足らず、美弦まで…何のつもりなんだろうな、あの影女」

気に入らないといった表情で呟くユヤ。