揺れて恋は美しく
しょぼくれるおねぇ二人と、桐島を介抱する美沙の元に、玲美と由依が辺りを見渡しながら近づいて来る。

「居た!」

由依が美沙を発見し、二人が一気に駆け寄ってくる。

「由依!」

「何してんのマコちゃん! もうすぐ出番だよ!」

「ごめん。色々あって」

両手を合わせて謝る美沙だが、由依は美沙の方を指差しながらガタガタと震えて、まるで聞こえてない様子であった。

「な、なんじゃこりゃぁー!」

桐島を膝枕する美沙を見て由依が絶叫する。

「えっ、あっ、違うの!」

「このような状況では、何を言われても…」

「玲美! 違うんだって!」

「何時からじゃぁー! 何時からそういう関係なのじゃー!」

「今でしょ!」

ママがしまったと、手で自分の口を塞ぎも時遅く、一同の冷たい視線を一身に浴びる。
そしてレイコが小声で一喝。

「バカ」

「ごめんなさい…」

それを見て美沙がクスクス笑いだしたのをきっかけに、残りの皆も釣られるようにして笑いだした。美沙の膝で眠る桐島もそんな中の一人だ。

「桐島君?」

美沙が桐島が目覚めた事に気付く。

「いい人達だな」

「うん」

桐島はゆっくりと起きようとするが、途中で首を押さえて膝をつく。

「大丈夫?」

さっと美沙が手を回して桐島を支える。

「ああ、大丈夫だけど。かなり効いたよ」

そう言って桐島が笑顔を見せると美沙も安心したように笑顔になり、二人だけでクスクスと笑い合って立ち上がる。

「マ・コ・ちゃん…」

「ゆ、由依…?」

「私の前でイチャつくなぁー!!」

怒り心頭した由依の怒号が響き渡り、そびえる木々で眠る鳥達を起こし、自由な空へと飛び立たせた。
鳥からしてみれば、迷惑この上なかっただろう。
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