仮面夫婦
「かして」



針を隆哉に預けると隆哉はテープで巻き




私の腕を見た




点滴を抜いたところから少し血が出ているのをガーゼで拭いて絆創膏を貼ってくれた




そして




そのまま私のもう片方の手も握り



至近距離に顔を近づけられた





その顔は




今までになく優しい




思わず目を合わせると




「いつ言ってくれる?」



「え?」




「俺、いつまで気づかないふりしたらいい?」
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