極上の他人


確かに私は輝さんよりかなり年下で、その手の平の上で転がすにはちょうどいいのかもしれないけれど、私は一人前の社会人だ。

「で?この店自慢のカレー、食べてみてよ」

デザートはヨーグルトシャーベットだぞ、と付け加えるその声音もまるで子供をあやすようで気になったけれど、輝さんが見せる表情に惹きつけられる自分も否定できない。

「……からいのは苦手なんだけど……」

カレーは、子供が食べるような甘口専門。

刺激のあるものには食べ物であれなんであれ、そう、なんであれ、苦手だ。

恋愛も、刺激がありすぎて、苦手だ。

「大丈夫。うちのカレーは深い味わいのあるからさだから。きっと気に入る」

「……じゃ、少しだけ」

こわごわと呟いた私に、嬉しそうに頷いた輝さんは、

「少しと言わず、たくさん食べて虜になってくれ」

「虜なんて、大げさです」

「虜になって欲しいのは、カレーだけじゃないけどな」

意味深な言葉にどきりとした私は、魔法にかけられたように動きを止めた。



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