極上の他人



その日、私と艶ちゃんが手伝ったのは、センターハウスの飾りつけだった。

週末のイベントには家族連れも多く訪れ、赤ちゃんや小さな子供たちもまた然り。

保育士の資格を持っているご近所の人が託児室でその子たちのお世話をしてくれるので、お昼寝用のベビーベッドを運び入れたり、お布団を干したり、子どもたちが大好きなキャラクターのぬいぐるみを並べたり。

おもちゃの準備も万端。

気付けば手元にあった絵本を夢中で読んでいた。

そして二時間ほど経った頃、展示場の入口にポスターを貼れば今日の仕事は終わりだと告げられた。

私と艶ちゃんは、手渡されたポスターを持って展示場の入り口へ。

入口脇にある掲示板の空きスペースにポスターを貼って、ほっと人心地ついていると、背後から声を掛けられた。

「ここ、誰でも入ることできるんですか?」

か細い声に振り返ると、セーラー服の女の子が少し息を切らしながら立っていた。

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