極上の他人
知らないことばかり



その後、毎日の忙しさにも慣れ、展示場の仕事に終着点が見えてきた頃。

普段私が勤務している本社から電車で30分ほどの場所にある営業部に、打ち合わせで行くことになった。

いつも机の上で図面や数字に追われている私にとって、出張はとても楽しく気分転換にもなる。

それに、本社とは違う営業部の慌ただしい雰囲気に触れると、何故かやる気が出てくるから不思議だ。

お客様との近い距離や、売上の数字などを聞く度に、設計という自分の仕事の行先がわかるようでわくわくする。

とはいっても、営業の人にとっては売上の数字は成績に直につながるものだから、わくわくなんて言ってられないけれど。


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