極上の他人


何が輝さんをそうさせるのかわからないけれど、予想外の事に私は何が何だかわからないまま、視線だけを動かして亜実さんを見た。

どうしよう、と目で訴える私に、亜実さんは苦笑しながら首を振った。

焦る私を安心させるように頷くと、そっと輝さんの様子を見た。

亜実さんは、私の肩に顔を埋めたままの輝さんを覗き込むと、小さな声で囁きながら輝さんの背中に手を置いた。

「だから言ったでしょ?いちゃつくなら二人きりになってからにしてって。それに、輝くんならまだしも、ふみちゃんは抱きしめられていっぱいいっぱいみたいよ」

男の人に抱きしめられることに慣れていない私はただ抱きしめられるだけで、輝さんの腕の中で身動き一つとれない。

お店で料理をする時に邪魔だから香りがするものは何もつけないと言っていたけれど、やっぱり輝さんには輝さんだとわかる香りがある。

その香りは輝さんの車に乗っていても感じるもので、今も私を包み落ち着かせてくれる。

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