極上の他人
冷たい再会



視線を絡ませ合い、動けないままでいると。

次第に輝さんの瞳に力がこもり、その口元が意地悪い口角を作った。

すると、その口元から思わせぶりな声が響いた。

「俺のことが好きって、本当だろうな?」

「え?」

「訂正や取り消しは受け付けないし、他の男にその言葉を言うのも認めない。一生だ」

「一生……」

「誠吾先輩と知り合って以来、一緒に史郁を見守りながらかわいい女の子だとは思っていたけど、今まで俺に何もなかったとは言わないし、恋人という存在もいた。そのことを隠すつもりもないし、俺は以前の恋人をちゃんと大切にしてきた。
だけど、今は史郁しか好きじゃないから」

強い気持ちがこめられた声と、揺れる目の奥に見える隠し切れない不安定さ。

「一生、俺が史郁を守るから。側にいろ」

言葉は一方的で高圧的だけど。

「誠吾先輩が史郁を守ってきたように、俺もずっと史郁を守るから」

私を掬い上げてくれるような繊細な思いが伝わってくる。



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