極上の他人


輝さんの家に入るのは初めてで、玄関に足を踏み入れた時から緊張感で心臓はバクバク音を立てていた。

エレベーターを16階で降りて、角部屋だという輝さんの家に向かっている時から続く緊張は、一向に収まる気配がない。

これまで、男性の家にお邪魔する機会なんて滅多になかったし、ましてや相手は大好きな輝さんだ。

一緒にいられるのは嬉しいけれど、やはりそわそわと居心地の悪さを感じ、平然としていられない。

輝さんは、リビングに通されても突っ立ったまま動けずにいる私に気付いていたんだろう。

必要以上に崩した表情を私に向け、普段よりも明るい声で私をからかっている。

そんな輝さんの気持ちを感じて、徐々に私の気持ちもほぐれてきた。

私の鼓動に気づいていないだろうかと心配になる余裕も生まれてきた。

そして、気持ちを少しでも落ち着かせようと何度か浅い呼吸を繰り返したあと、私はぽつりと呟いた。

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