秘密の言葉
「…いつか話す。花が皆に言わないでくれるなら」

「…今は、教えてくれないの?」

「今日はもう遅いから、またね」

水木君は暗闇の中へと消えた。

「…ただいま」

「ちょっと花!今玄関でずっと何か見つめてたけど…何やってたの?」

「えっ…友達と話してた」

水木君と話してるの見られたのか、彼氏とか勘違いされてないよね?

「あら、そう?ならいいけど」

部屋に入って布団にダイブすると、枕に顔を埋める。
今日の事を思い返すと、やっぱり疑問が多い。
水木君の秘密…。
きっと水木君だけの、とっておきの秘密。
私に本当に教えてくれるのだろうか?
皆は水木君の存在をどう思っているのか。
考えてみれば、水木君のこと何もしらないや…。
好きな食べ物とか。
好きな音楽とか…。
好きな人の、タイプとか。

「昔のあの子には、もう会えないのかな」

だから水木君の事が好き。
っていう事ではなくて、曖昧なんだ。
どちらかが好きなんて、言い切れない。

「って、はやく会いに来てよ。私の運命の人…」
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