秘密の言葉
ーー「ねーねー、ぼくと遊ぼうよ!」

普段、1人で遊んでいた私に声をかけてくれたのが、始まりだったかな。

「いっしょに遊んでくれるの?」

「うん、それに君は花みたいに可愛いから、仲良くなりたいんだ!」

「わあ!じゃあ花って呼んで?」

そっか、名前を教えた訳じゃ無かったんだ…。
じゃあ会っても、名前わかんないのか。

「はな、明日も会える?」

「毎日、ここにいるよ!」

退屈な日なんて、無かったな。
毎日、君に会うのが楽しみで、家で凄く機嫌が良かった気がする。

「花、最近上機嫌ね?」

お母さん、この頃若かった。
笑顔も、すごく若々しかった。

「あのね、あのね!今日男の子と仲良くなったの!私のこと、花みたいって言ってた!」

本当に幼くて、無邪気だったな。
私のお父さんは、小さい頃出て行ったらしい。
お母さんは『あんなの、出て行って清々したわ!』って意外とけろっとしてた。

___「花、ご飯出来たわよ!」

いつもお母さんの声。
今も記憶の中も、ずっと若くて生き生きしてる。

「今行くね!」

昔を忘れる事は出来ない、でも…
今は今で、私にとって素晴らしい日々だ。
こうやって、明日のために生きればいいのに、私は過去を忘れられない、忘れちゃいけない気がするから。
でもやっぱり…前も向かなきゃ。
< 7 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop