澪ちゃん恋をする


「俺にもちょーだい!」



そんな声が聞こえたかと思ったら、先輩のもとに行くはずだったエクレアさんが、いきなり後ろから現れたやつによって奪い去られた。

あまりに突然だったから、あたしと先輩は2人してポカンと口を開けた。

ヤツはあたしがきれいに包んだ袋をバサバサと広げて、その中にいたエクレアさんを大きな口で食べた。

食べた…。

た…べた…?



「ええぇぇー!!?ちょっそれ先輩の!!」



なんということか。

ヤツは食べたのだ。



「腹減った!これぐらいいいじゃねぇか!」



そう言いながら口の横に付いたチョコを親指でぬぐった。

いやいや、良くないでしょ!!



「玲次!あんた甘いもの苦手じゃん!」



「苦手でも無性に食べたくなるときがあるんだ!」



あたしに向かってそう言った。

はぁっ!?なに言っちゃってんのコイツ!?



「返せっ!あたしのエクレア返せ!!」



「返してもいいけど、口移しだぞ?」



玲次はニヤニヤと笑いながらあたしを見た。



「ふっふざけんじゃないわよ!」



「ふんっ俺はいつでも強気に本気!無敵に素敵!」



「はぁ!?」



「あぁ!?」



「「ガルルルルル~」」



あたしと玲次の戦いはヒートアップしてきた。

いつものように玲次と額をくっ付けて睨み合いをしていると、すぐ隣で戸惑った声が聞こえた。

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