澪ちゃん恋をする


「それでは、イルカさんにほっぺにチューしてもらいたい人~?」



イルカの調教師の人が観客に呼びかけた。

ここではイルカにキスしてもらえるらしい。

子供たちがハイハイと手を挙げている。

やっぱりこういうのは子供たちがやんなきゃな。

あたしはそう思っていた。




……のに。

誰かがあたしの右手を掴んで思いっきり挙げた。



「はーい!はーい!!」



こんなことをするのは1人しかいない。



「や、やめてよ。恥ずかしい!!」



そう言ってあたしは手を下ろそうとした。

しかし。



「じゃあそこのかわいいお姉さん!」



「え?」



調教師さんがあたしたちの方を指指している。

キョロキョロすると、周りの観客の人たちがあたしを見ながら笑っている。

も、もしかして、あたし!!?

あたしは玲次をキッと睨んだ。

玲次は肩を震わせ笑っている。

くっそ~!!めちゃくちゃ恥ずかしい。



「こちらに来てください」



そう言われてあたしはしぶしぶ行くことになった。



「お、覚えとけよ」



そう言って前に出ようとした。

その時。

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