旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
「また改めて一緒に暮らす、お互いのルールを決めましょう。俺は帰りますので貴女はゆっくり休んでください」

 そう言うと彼は部屋を出ていった。

「……」

 可笑しいと思った。

 だって冴えない私と結婚したいだなんて変だったのよ。

 馬鹿ね私……。

 本当……馬鹿……。

 膝の上で握り締めた拳にポタポタと涙が零れ落ちる。

 再び人形として歩む人生、そして愛されない悲しみ――。

 私は一体……なんなの……。

 私の存在意義は何処にあるの。

 自問自答を繰り返しても確かな答えは見つからない。

 ただ想うことは、野田家の肩書きなど取っ払った私を見て欲しい――。

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